2013年ロッキーチャレンジ賞 受賞者
琉球大学工学部機械システム工学科 准教授 瀬名波 出 氏
瀬名波 出 氏
沖縄県立豊見城高等学校 卒業
琉球大学工学部エネルギー機械工学科 卒業
琉球大学大学院工学研究科機械工学専攻 修了
名古屋大学 博士(工学)
1993年 琉球大学工学部助手に採用
2006年 琉球大学工学部准教授に昇任
2010年 工学部貢献者賞(2009 年度,社会貢献賞)
2010年 国際学会(IMPRES2010)ベストポスターアワード賞
沖縄は火力発電に頼っており県民の生活や経済活動が活発化すると温暖化ガスである炭酸ガスを大気中にどんどん放出してしまいます。炭酸ガスを発生源で固定化することは地球環境の観点から見れば県民の義務ともいえます。瀬名波博士は専門の流体力学の立場を生かし、炭酸ガスを効率的に海水にとかす方法を研究しました。
従来は海水中に炭酸ガス気泡を注入する方法が一般的でしたが、海水を霧のようにしてガス中に噴霧すると6倍以上の炭酸ガス溶解が出来ることを明らかにしました。さらに海水に溶かした炭酸ガスは海洋植物に固定化する必要があります。
瀬名波博士は広く学外の研究機関と協働して、沖縄の産業にも貢献できるよう、海ブドウやモズクの早期育成の研究を推進しております。沖縄の日照、気温、水温、等の立地条件を生かした海洋植物農場は特産食物だけでなく観光産業に発展する可能性もあります。
またバイオガスから炭酸ガスを取り除くことはエネルギー効率や輸送効率の観点からも重要です。瀬名波博士はバイオガスから炭酸ガスを取り除くコンパクトなユニット装置の開発にもチャレンジしています。
ロッキーチャレンジ基金では瀬名波博士の広く地球環境、地域環境、地域経済、への貢献を視野に入れた活動や、学外ネットワーク力に代表される「外界志向」と「志」と「挑戦」を讃え2013年ロッキーチャレンジ賞を贈りました。
授与式は2013年5月24日(金曜日)琉球大学21世紀フォーラムの場で行いました。
研究関連プロジェクト名及び経歴、受賞歴
・2008年 排気ガス中の二酸化炭素分離・溶解装置の開発
・2009-2010年 「海洋バイオマス利用によるCO2排出削減・新エネルギー創出の実証モデル事業」 (平成20年度経産省:低炭素社会に向けた技術シーズ発掘・社会システム実証モデル事業)プロジェクト リーダー
・文部科学省 平成23年度科学研究費補助金(基盤研究(B))「海洋バイオマス利用によるCO2削減およ
びバイオ燃料化に関する研究」において研究代表者(研究者11名)(H22~24年度,550万円/H22年度) ・受託研究「消化ガスからの二酸化炭素除去実験および解析」(2010/12-2011/3,90万円)
・2010年11月 “Contact of algae with condensed carbon dioxide to accelerate solid/gas reaction in the living body”に関しIMPRES2010国際学会ベストポスターアワード賞受賞
・工学部貢献者賞(2009年度,社会貢献賞)
関連論文、研究発表等
〔論文・著書・印刷物等〕 1)瀬名波出、“沖縄における海洋バイオマスによるCO2排出削減および炭素回生システムの開発”(総 論), 南方資源技術研究会誌, 26巻1号, p. 11, 2010 2)瀬名波出、“海洋バイオマスによる二酸化炭素吸収・利用システム”(分筆), 「二酸化炭素の有効 利用技術」(サイエンス&テクノロジー出版), p. 277, 2010
3) 瀬名波出、“特集:環境改善の取り組み最前線「沖縄における海洋バイオマス利用による CO2固定 化・新エネルギーの開発」”, 港湾, 86巻, 2009.6
〔研究発表〕
1) 瀬名波出,大城邦夫,“消化ガスからの二酸化炭素削減およびその利活用方法開発”, 日本エネル
ギー学会バイオマス部門・第7回バイオマス科学会議, 1月19日, 2012.
2) 瀬名波出,大城邦夫,“消化ガスからの小型二酸化炭素吸収装置の開発”, 第21回環境工学シンポ
ジウム, 6月29日, 2011.
3) I.Senaha, et.al, “Contact of algae with condensed carbon dioxide to accelerate solid/
gas reaction in the living body”, International Symposium on Innovative Materials for P
rocesses in Energy Systems 2010, Nov. 30, 2010.
4) I.Senaha, et.al, “Development of absorption and recirculation system of CO2 by marine b
iomass”, International Workshop on Process Intensification 2010, Dec. 3, 2010.
5) 瀬名波出,他,“藻類利用によるCO2吸収システム開発”, 2010環境工学シンポジウム, 6月27日,
2010.
6) 瀬名波出,小西照子,他,“海洋バイオマスを利用したCO2回収・リサイクル技術の開発”, 2010
年度日本機会学会年次大会, 9月6日, 2010.
7) 瀬名波出,他,“微細藻類利用によるCO2吸収および新エネルギー開発”, 第47回日本伝熱シンポ
ジウム, 5月26日, 2010.
8) 瀬名波出,行本正雄,平岡雅規:“海洋バイオマス利用によるCO2 吸収と新エネルギ開発に関する
研究”,第46回日本伝熱シンポジウム講演論文集,Vol.II, p.561, 2009.
講演・展示等
1) 財団法人海洋バイオマス推進機構設立にて基調講演「海洋バイオマス事業の展開」(2011/4) 2) NEC 講演会「海洋バイオマス利活用による CO2 削減と新エネルギーの可能性」(2011/7) 3) アグリビジネス創出フェア(千葉)で展示、新聞取材(2010/11,琉球新報 新聞取材)
4) 沖縄の産業祭り出展(2010/10)
5) イノベーションジャパン(東京)で展示および講演(2010/9)
6) 全国大学技術部 九州地区技術研修会 特別講演(2010/9)
7) 沖縄の科学最先端 講演
8) 第 1 回エコアイランドフェスタに出展(2010/7)
9) 2010 科学技術フェスタ in 京都、琉球大学の研究取組みとして展示(2010/6)
10) 愛知県豊橋市サイエンスクリエートにて講演(2010/1,東日新聞 新聞取材)
11) 産官学連携機構 コーディネーター九州沖縄会議にて基調講演(2009/12)
12) 沖縄イノベーションフォーラムにて講演(2010/12)
13) 沖縄産官学イノベーションフォーラム講演(2009/11)
14) 沖縄県産業祭りにて講演(2009/10)
15) 青森海洋環境エネルギー推進会にて招待講演(2009/10,河北新報 新聞取材)
16) 南方資源技術研究会 基調講演(2009/7)
17) 環金武湾地球温暖化対策地域協議会 基調講演(2009/7)
18) 海洋バイオマスコンソーシアム 講演(2009/5)
マスコミ報道等
I.テレビ放送
1) 沖縄テレビ放送“OTV スーパーNEWS”,「切り札は海藻!再生エネルギーで CO2 削減」, 2011.12.29 2) NHK ワールド“Begin Japanology”,「Seaweed」, 2011.9.29
3) NHK 総合“問学問”,「間違いだらけのエネルギー選び」, 2011.6.2
4) NHK 教育“サイエンスゼロ”,「資源になる!?二酸化炭素を利用せよ(No.305)」, 2010.5.15. 5) NHK 総合“スタジオパーク”,「生物パワーで地球を救え」, 2010.5.10.
6) 毎日放送 “西日本8局特番” ,「チャレンジ25%の道筋」, 2010.5.5.
7) 毎日放送“VOICE”,「スクスク育つバイオ燃料」, 2010.4.29.
II.ラジオ・新聞 1)FM沖縄・FMモーニングビュー「海洋バイオマスによる二酸化炭素削減および新エネルギー開発研究紹
介」(2011/12/4)
2)琉球新報「琉大、CO2溶解技術紹介 千葉アグリビジネスフェア」(2010/11/) 3)日経産業新聞「2030年への挑戦 次世代産業技術 藻類を燃料に」(2010/4/14) 4)東日新聞「愛知県豊橋市サイエンスクリエーターにて講演」(2010/1/26) 5)東日新聞「海洋バイオマスの可能性」(2010/1/24) 6)読売新聞「エコな“一石三鳥”琉球大などチーム実験」(2009/6/29) 7)河北新報「海藻を活用し温暖化防止」青森海洋環境エネルギー推進会にて講演(2009/10)新聞取材 8)沖縄タイムス「CO2で海藻類増殖へ」(2009/6/28)
9)琉球新報「海藻育てバイオ燃料に 瀬名波琉大准教授とうるま市実証実験へ」2009.12.26
III.その他
1)ベネッセ・進研ゼミ「高校講座高2受験チャレンジ小論文10月号テキスト 基礎研究・技術開発紹介」 (2010/10) 2)ネット・マガジンgreenz.jp「CO2を海藻に食べさせて、残ったガスはリユース水素に!? 下水から 生まれるリユース・エネルギーとは?」[http://greenz.jp/2011/10/14/rh2now001/](2010/10/14) 3)全国工学部長会議研究紹介(2010/7)
4)全国工学部長会議研究紹介(2009/9)